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最高裁判所第二小法廷 平成2年(行ツ)112号 判決 1991年3月22日

大阪市西成区南津守六丁目五番五三号

上告人

株式会社 オーエス

右代表者代表取締役

奥村昭之助

右訴訟代理人弁護士

宇佐美貴史

同弁理士

柳野隆生

東京都練馬区大泉町三丁目三一番三四号

亡一條常也訴訟承継人

被上告人

一條美智子

同所同番号

同被上告人

一條由貴子

同所同番号

同被上告人

一條正城

右由貴子・正城法定代理人親権者

一條美智子

右三名訴訟代理人弁護士

横松昌典

黒澤計男

右当事者間の東京高等裁判所昭和六三年(行ケ)第二〇三号審決取消請求事件について、同裁判所が平成二年二月二二日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人宇佐美貴史の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 中島敏次郎 裁判官 藤島昭 裁判官 香川保一 裁判官 木崎良平)

(平成二年(行ツ)第一一二号 上告人 株式会社オーエス)

上告代理人宇佐美貴吏の上告理由

一、原審判決は、特許法第二九条二項の解釈を誤ったものであり、取消しを免れないものである。即ち、特許法第二九条二項により「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明することができた」技術については特許を受けることができないとされていること法の定めるところである。

然るとき、古来パンタグラフの概念で表されている伸縮自在な菱形部材を各種の技術分野において利用することは全く普遍的に通常人であれば発想するところのものであり、古典的カメラのジャバラ支持部材、電車のジャバラ連結部の支持部材、張出し自在としたテントの支持部材等に古くから常用されているものである。

ところが、原審判決は上記慣用の技術について、上記挙示したものが本件発明とは技術分野を異にすることを理由の一つに挙示して、上記慣用技術は本件発明の属する技術の分野においては通常の知識を有する者が容易に発明することができない旨判示しているものである。

然し、上記の如き慣用技術は総ての技術分野に普遍的なものであること古来常識に属するものであり、然るとき本件発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものが容易に発明することができた思想であること全く明らかなものである。

然るに、原判決は「被告が慣用の技術として例示するものは、本件発明とは技術分野を異にする」ことを理由の一つとして、本件発明が特許法第二九条二項に特触しない旨判示したものであるが、かかる普遍的な思想について、本件発明とは技術分野を異にするから新歩性を喪失しない旨認定することは、特許法第二九条二項の解釈を誤ったものであること明ららかであるから、原審判決は取消しを免れないものである。

二、因みに、スクリーン業界においても、伸縮自在な菱形部材を利用していること全く明らかなものであるから、念の為これを添付する。

以上

(添付書類省略)

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